はじめに:POSレジ市場の現状とキャッシュレス決済の重要性
キャッシュレス決済端末を検討している経営者の皆様にとって、POSレジ選びは店舗運営の成功を左右する重要な決断です。世界のPOS市場規模は、予測期間中に16.1%のCAGRで、2024年の334億1,000万ドルから2032年までに1,102億2,000万ドルに成長すると予測されています。
国内に目を向けると、2020年のクラウドPOSレジの市場規模は22億ドルでした。2021年以降の年平均成長率は24%が見込まれており、2024年現在の市場規模は約42億ドルと予測されます。この急成長する市場において、スマレジとエアレジは国内タブレットPOSレジの二大巨頭として君臨しています。
結論:どちらを選ぶべきか?
迷ったらスマレジがおすすめです。理由は以下の通りです:
- 将来性と拡張性:事業成長に合わせてプランアップグレードが可能
- 豊富な外部連携:100以上のアプリと幅広いシステム連携
- IT導入補助金対応:最大75%の補助で導入コストを大幅削減
- 充実したサポート体制:365日対応の電話サポート(有料プラン)
一方、エアレジは完全無料で基本機能を利用したい小規模店舗に最適です。
1. 基本情報とシェア比較
1.1 市場シェアと導入実績
項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
導入店舗数 | アクティブ店舗数47,089店(2024年10月時点) | 878,000アカウント(2024年6月末時点) |
運営会社 | 株式会社スマレジ | リクルート株式会社 |
サービス開始 | 2005年 | 2013年 |
対応OS | iOS専用 | iOS専用 |
エアレジがアカウント数では圧倒的ですが、スマレジの主なユーザー層は2店舗から40店舗を構える中規模層までの小売業、飲食業、サービス業、医療等の80万店舗とされており、このうちに占めるシェアは約5.5%です。
1.2 両サービスの特徴
スマレジの特徴
- 無料から始められる5段階の料金プラン
- 業界トップクラスの機能性と拡張性
- 複数店舗管理とEC連携に強み
- IT導入補助金対象
エアレジの特徴
- 完全無料のシンプル設計
- リクルート系サービスとの強力な連携
- 初心者にも分かりやすい操作性
- Airペイとのシームレス連携
2. 料金プラン徹底比較
2.1 スマレジの料金体系
プラン名 | 月額料金(税込) | 主な機能 |
---|---|---|
スタンダード | 0円 | 基本レジ機能、売上分析(1店舗のみ) |
プレミアム | 5,500円 | 複数店舗管理、高度な分析機能 |
プレミアムプラス | 8,800円 | 電話サポート、顧客管理機能 |
フードビジネス | 12,100円 | 飲食店特化機能 |
リテールビジネス | 15,400円 | 小売店特化機能 |
2.2 エアレジの料金体系
プラン名 | 月額料金 | 主な機能 |
---|---|---|
基本プラン | 0円 | 全機能利用可能 |
Airレジオーダー | 要問い合わせ | 飲食店向けオーダーシステム |
コストパフォーマンス分析
エアレジは完全無料で全機能を利用できるため、初期コストを抑えたい小規模店舗には最適です。一方、スマレジは売上の月別分析やセルフレジ機能といった高度なレジ機能・販促機能を使いたい場合、プレミアム以上の有料プランに加入する必要があります。
3. 機能比較:どちらが優秀?
3.1 基本レジ機能
両者とも基本的なレジ機能に大きな差はありません。しかし、詳細機能で差が生まれます。
スマレジの優位性
- セール販売、セット販売、取り置き販売など多様な販売方法
- 詳細な権限設定とスタッフ管理
- オフライン機能(インターネット非接続時も利用可能)
- 複雑な商品バリエーション管理
エアレジの優位性
- シンプルで直感的な操作性
- 設定の簡単さ
- 無料でも機能制限なし
3.2 売上分析・レポート機能
分析項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
日別・月別分析 | ◎ | ○ |
商品別分析 | ◎ | ○ |
部門別分析 | ◎ | △ |
店舗間比較 | ◎ | × |
時間帯分析 | ◎ | ○ |
ABC分析 | ◎ | × |
スマレジは売上比較(商品属性別売上)に対応していますが、Airレジ(エアレジ)は売上比較(商品属性別売上)に対応しておりません。
3.3 在庫管理機能
スマレジ
- リアルタイム在庫管理
- 複数店舗間の在庫移動
- EC在庫との連携
- 自動発注機能(有料プラン)
エアレジ
- 基本的な在庫管理
- 在庫アラート機能
- 簡易な在庫調整
3.4 顧客管理機能
スマレジで管理できる顧客情報の項目は圧倒的に多いです。Airレジ(エアレジ)には会員機能がないため、登録できる顧客情報の項目は最低限にとどまります。
スマレジの顧客管理
- 詳細な顧客情報(連絡先、勤務先、購入履歴等)
- ポイント機能
- 会員ランク設定
- バーコード会員カード対応
エアレジの顧客管理
- 基本的な顧客情報のみ
- シンプルな管理画面
4. キャッシュレス決済対応比較
4.1 対応決済方法
決済方法 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
クレジットカード | ○ | ○ |
電子マネー | ○ | ○ |
QRコード決済 | ○ | ○ |
連携可能な決済サービス数 | 10社以上 | 2社(Airペイ、Square) |
4.2 決済手数料比較
スマレジ(PAYGATE)は中小事業者向けプランが適用されれば、クレジットカード決済に対する手数料が最低1.98%まで下げられます。Airレジ(エアレジ)(エアペイ)は決済手数料ディスカウントプログラムが適用されても、決済手数料は最低2.48%までしか下がりません。
年間売上1,000万円の店舗での手数料差額
- スマレジ(1.98%):年間19.8万円
- エアレジ(2.48%):年間24.8万円
- 差額:年間5万円
4.3 決済端末の選択肢
スマレジ
- PAYGATE(オールインワン端末)
- Square Reader
- STORES 決済
- 楽天ペイ
- JMS
- StarPay など
エアレジ
- Airペイ(専用カードリーダー)
- Square Reader
5. 外部システム連携比較
5.1 会計ソフト連携
スマレジ対応会計ソフト
- マネーフォワード クラウド会計
- freee会計
- 弥生会計
- 勘定奉行クラウド
- TKC FXシリーズ
- その他多数
エアレジ対応会計ソフト
- freee会計
- 弥生会計
- マネーフォワード クラウド会計
- A-SaaS
5.2 EC連携
スマレジ
- Shopify
- BASE
- カラーミーショップ
- 楽天市場
- Amazon
- その他多数のECプラットフォーム
エアレジ
- EC連携機能なし
5.3 その他の外部連携
スマレジ
- Uber Eats
- 出前館
- foodpanda
- トレタ(予約管理)
- LINE公式アカウント
- Instagram連携 など
エアレジ
- Airペイ
- Airリザーブ(予約管理)
- Airシフト(シフト管理)
- その他Airシリーズとの連携
6. サポート体制比較
6.1 サポートチャネル
サポート方法 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
メール | ○(全プラン) | ○ |
電話 | ○(プレミアムプラス以上) | ○(導入時のみ) |
チャット | ○(有料プラン) | ○ |
ショールーム | ○(東京・大阪) | × |
6.2 サポート時間
スマレジ
- メール:平日9:00-18:00(当日回答原則)
- 電話:年中無休9:00-22:00(有料プラン)
エアレジ
- メール:平日のみ
- チャット:平日10:00-19:00
6.3 導入支援
スマレジ
- 無料オンライン相談
- ショールーム見学
- 設置・設定サポート(有料)
- 30日間無料トライアル(全機能)
エアレジ
- 電話による導入サポート
- オンライン説明会
- FAQサイト充実
7. IT導入補助金対応
7.1 補助金対象
項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
IT導入補助金2025対象 | ○ | × |
補助率 | 最大75%(小規模事業者は最大80%) | 対象外 |
補助金額 | 最大450万円 | 対象外 |
IT導入補助金はスマレジとユビレジが対象です。しかもスマレジとユビレジではIT導入補助金の申請までサポートしてくれます。
7.2 補助金活用例
導入費用100万円の場合
- 補助率75%適用:自己負担25万円
- 補助率80%適用:自己負担20万円
エアレジは無料なので補助金は必要ありませんが、周辺機器(iPad、プリンター等)の費用は自己負担となります。
8. 業種別おすすめ度
8.1 飲食店
評価項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
基本機能 | ◎ | ○ |
オーダーシステム連携 | ◎ | ○ |
軽減税率対応 | ◎ | ○ |
テーブル管理 | ◎ | △ |
フードビジネスプラン | ◎ | × |
飲食店におすすめ:スマレジ
理由:フードビジネスプランで飲食店特化機能が充実
8.2 小売店
評価項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
在庫管理 | ◎ | ○ |
商品管理 | ◎ | ○ |
EC連携 | ◎ | × |
バーコード管理 | ◎ | ○ |
複数店舗管理 | ◎ | △ |
小売店におすすめ:スマレジ
理由:EC連携と複数店舗管理が強力
8.3 美容院・サロン
評価項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
顧客管理 | ◎ | △ |
予約システム連携 | ○ | ○ |
回数券・コース管理 | ◎ | △ |
スタッフ管理 | ◎ | ○ |
美容院・サロンにおすすめ:スマレジ
理由:詳細な顧客管理と回数券機能
8.4 小規模店舗(個人経営)
評価項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
導入コスト | ○ | ◎ |
操作の簡単さ | ○ | ◎ |
必要最小限機能 | ○ | ◎ |
ランニングコスト | △ | ◎ |
小規模店舗におすすめ:エアレジ
理由:完全無料で必要十分な機能
9. 導入費用シミュレーション
9.1 初期費用比較
項目 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
アプリ利用料 | 0円 | 0円 |
iPad(10.9インチ) | 68,800円 | 68,800円 |
レシートプリンター | 39,800円 | 39,800円 |
キャッシュドロア | 16,500円 | 16,500円 |
バーコードリーダー | 10,800円 | 10,800円 |
合計 | 135,900円 | 135,900円 |
9.2 月額ランニングコスト
1年目(スマレジ無料プラン使用)
- スマレジ:0円/月
- エアレジ:0円/月
2年目以降(機能拡張が必要になった場合)
- スマレジ:5,500円/月(プレミアムプラン)
- エアレジ:0円/月(機能拡張不可)
9.3 決済手数料を含む総コスト(年間売上500万円想定)
年度 | スマレジ | エアレジ |
---|---|---|
1年目 | 99,000円 | 124,000円 |
2年目 | 165,000円 | 124,000円 |
3年目 | 165,000円 | 124,000円 |
3年間合計 | 429,000円 | 372,000円 |
*決済手数料:スマレジ1.98%、エアレジ2.48%で計算
10. 実際の導入事例と口コミ
10.1 スマレジ導入事例
事例1:多店舗展開の焼肉チェーン
- 導入前の課題:各店舗の売上データ集計に時間がかかる
- 導入後の効果:リアルタイムで全店舗の売上を把握、人件費20%削減
事例2:アパレル店(EC併用)
- 導入前の課題:実店舗とECサイトの在庫管理が煩雑
- 導入後の効果:在庫の一元管理により機会損失30%削減
10.2 エアレジ導入事例
事例1:個人経営のカフェ
- 導入前の課題:古いレジでは売上分析ができない
- 導入後の効果:無料で詳細な売上分析が可能に
事例2:美容院
- 導入前の課題:手書きの売上管理で集計ミスが発生
- 導入後の効果:自動集計によりミスゼロ、時間短縮
10.3 ユーザー満足度
スマレジの評価
- 機能性:★★★★★
- 操作性:★★★★☆
- サポート:★★★★☆
- コスパ:★★★☆☆
エアレジの評価
- 機能性:★★★☆☆
- 操作性:★★★★★
- サポート:★★★☆☆
- コスパ:★★★★★
11. 選び方のポイント
11.1 エアレジを選ぶべき店舗
- 個人経営または小規模店舗
- ランニングコストを0円に抑えたい
- 基本的なレジ機能で十分
- Airペイを既に利用している
- シンプルな操作性を重視
11.2 スマレジを選ぶべき店舗
- 2店舗以上の展開を予定している
- ECサイトとの連携が必要
- 詳細な売上分析が必要
- 将来的な機能拡張を考えている
- IT導入補助金を活用したい
11.3 判断基準チェックリスト
以下の項目に3つ以上当てはまる場合、スマレジがおすすめです:
- [ ] 複数店舗を運営予定
- [ ] ECサイトを運営している/予定
- [ ] 詳細な顧客管理が必要
- [ ] 高度な売上分析をしたい
- [ ] 外部システムとの連携が必要
- [ ] 電話サポートを受けたい
- [ ] IT導入補助金を活用したい
12. 2025年のトレンドと将来性
12.1 市場トレンド
セルフレジの普及 セルフレジの市場規模は、2020年には約1,000億円でしたが、2025年には約2,500億円になると予測されています。両社ともセルフレジ機能に対応していますが、スマレジの方が機能が充実しています。
AIとの連携 今後はAIを活用した需要予測や自動発注機能が重要になります。スマレジはAPIが豊富で、AI連携の可能性が高いといえます。
12.2 キャッシュレス決済の動向
政府は「Cashless Vision」により、キャッシュレス取引を2025年までに40%、長期的には80%まで引き上げることを目指しています。この流れに乗るためにも、キャッシュレス決済対応は必須です。
12.3 インボイス制度への対応
2023年10月から開始されたインボイス制度により、適格請求書の発行が必要になりました。両システムとも対応済みですが、今後の制度変更への対応力はスマレジの方が高いと予想されます。
13. よくある質問(FAQ)
Q1. どちらも無料で使えるのに、なぜスマレジの方が良いのですか?
A1. スマレジは無料プランでも機能が豊富で、将来的な事業拡大に対応できるためです。エアレジは機能追加ができないため、成長に伴って別システムへの移行が必要になる可能性があります。
Q2. エアレジの方がアカウント数が多いのに、なぜシェアが低いのですか?
A2. エアレジのアカウント数には休眠アカウントも含まれている可能性があります。スマレジは「アクティブ店舗数」で報告しているため、実際の利用状況をより正確に反映していると考えられます。
Q3. 決済手数料の差は本当に大きいのですか?
A3. 年間売上が大きくなるほど差額は顕著になります。年間売上1,000万円で約5万円、3,000万円で約15万円の差が生まれます。
Q4. IT導入補助金はいつまで利用できますか?
A4. IT導入補助金は毎年実施されていますが、予算には限りがあります。2025年度も実施予定ですが、早めの申請をおすすめします。
Q5. 他社からの乗り換えは可能ですか?
A5. 両システムともデータ移行サポートを提供しています。スマレジの方がサポート体制が充実しているため、移行がスムーズです。
14. まとめ:最適な選択をするために
14.1 最終的な推奨事項
事業成長を見据えるなら「スマレジ」
- 初期は無料プランでスタート
- 成長に合わせてプランアップグレード
- IT導入補助金で導入コストを削減
- 豊富な機能で長期利用が可能
シンプル運営なら「エアレジ」
- 完全無料で必要十分な機能
- 簡単操作で導入負担が少ない
- Airペイとの連携でキャッシュレス対応
14.2 導入時の注意点
- 事前に無料トライアルを活用
- スタッフの操作性を確認
- 必要な周辺機器を事前に確認
- サポート体制を理解しておく
- 将来的な事業計画を考慮
14.3 成功する導入のために
POSレジ導入は単なるツール導入ではなく、店舗運営のデジタル化です。どちらを選んでも、以下の点を意識することで導入効果を最大化できます:
- スタッフへの十分な研修
- データ分析の習慣化
- 顧客サービス向上への活用
- 継続的な機能アップデート
15. 関連リソース
15.1 公式サイト・資料
15.2 追加情報
- 30日間無料トライアル(スマレジ)
- オンライン相談予約(両社対応)
- ショールーム見学(スマレジ:東京・大阪)
15.3 導入支援サービス
多くのPOSレジ販売代理店では、以下のサービスを提供しています:
- 無料コンサルティング
- 設置・設定代行
- スタッフ研修
- アフターサポート
まとめ
スマレジとエアレジはそれぞれ異なる強みを持つ優秀なPOSレジシステムです。将来的な事業成長を考慮するならスマレジ、シンプルで無料のシステムを求めるならエアレジが最適です。
どちらを選んでも現代的なPOSレジの恩恵を受けることができますが、長期的な視点での選択が成功への鍵となります。ぜひこの記事を参考に、あなたの店舗に最適なPOSレジシステムを選択してください。
この記事の情報は2025年6月時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。