キャッシュレス決済が普及した現在、お客様の多様な決済ニーズに対応するマルチ決済端末の導入は、もはや店舗経営において不可欠な要素となっています。
結論:マルチ決済端末は1台でクレジットカード、電子マネー、QRコード決済の主要決済手段に対応でき、売上向上と業務効率化を同時に実現できる重要なツールです。
この記事では、マルチ決済端末を検討している店舗様に向けて、基本知識から具体的な選び方、おすすめサービス、導入手順まで包括的に解説します。
マルチ決済端末とは
基本的な定義
マルチ決済端末とは、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など様々な支払方法に対応した決済端末のことです。従来のCAT端末(クレジットカード専用端末)とは異なり、1台で複数の決済手段を処理できるオールインワン型の決済システムです。
対応している決済方法
マルチ決済端末では、主に以下の3つのカテゴリの決済方法に対応しています:
決済カテゴリ | 対応決済 | 特徴 |
---|---|---|
クレジットカード決済 | VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club | 日本で最も利用者が多い決済方法(83%のシェア) |
電子マネー決済 | Suica、PASMO、楽天Edy、WAON、nanaco | タッチするだけの簡単決済、小額決済に最適 |
QRコード決済 | PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、LINE Pay | スマホアプリで手軽に決済、若年層に人気 |
マルチ決済端末は1台でクレジットカードやQRコード・電子マネーなど豊富な決済が可能で、30種以上の支払方法に対応しているサービスもあります。
マルチ決済端末のメリット・デメリット
導入メリット
1. 顧客満足度の向上
例えばクレジットカード決済をしたい海外からのお客さま、交通機関で使いなれている電子マネーで決済したい方、いつも持ち歩いているスマホで手軽にQRコード決済をしたい方など、ひとつの店舗でもお客さまによって利用したい決済方法は異なります。マルチ決済端末の導入により、これらすべてのニーズに対応できます。
2. 業務効率化
- レジ周りのスッキリ化:複数の端末を設置する必要がない
- 操作習得の負担軽減:従業員が覚える操作方法が1台分のみ
- 現金管理の簡素化:キャッシュレス決済の増加により釣銭準備が減少
3. 売上管理の一元化
クレジットカード、電子マネー、QRコードといった、多種多様な決済を一元管理できるのも、マルチ決済端末を導入するメリットのひとつです。決済方法ごとに売上を分散管理する必要がなく、経理業務が効率化されます。
4. インバウンド対応
海外観光客の多くはクレジットカードやタッチ決済を利用しており、マルチ決済端末の導入により訪日外国人の集客効果が期待できます。
導入デメリット
1. 決済手数料の発生
キャッシュレス決済には決済手数料が発生します。一般的な手数料率は以下の通りです:
- クレジットカード決済:2.5%~3.25%
- 電子マネー決済:3.0%~4.0%
- QRコード決済:2.0%~3.24%
2. 入金タイムラグ
現金と異なり、売上金の入金には時間がかかります。サービスによって異なりますが、最短翌営業日~月6回程度の入金サイクルとなります。
3. 通信環境への依存
Wi-Fiや4G回線を使用するため、通信環境が不安定な場所では決済エラーが発生する可能性があります。
マルチ決済端末の種類と選び方
端末のタイプ別特徴
モバイル型(ポータブル型)
- 特徴:持ち運び可能、4G通信対応
- 適用シーン:テーブル決済、イベント出店、キッチンカー
- メリット:場所を選ばず決済可能、導入コストが低い
- デメリット:バッテリー管理が必要、通信エラーのリスク
据え置き型
- 特徴:レジカウンターに固定設置、有線LAN接続
- 適用シーン:大型店舗、チェーン店
- メリット:安定した通信環境、高い処理能力
- デメリット:設置場所が限定される、初期コストが高い
決済端末選びの6つのポイント
1. 対応決済ブランドの確認
店舗の客層に合わせて必要な決済手段を選定しましょう。例えば:
- 高額商品を扱う店舗:クレジットカード決済は必須
- 若年層が多い店舗:QRコード決済の充実が重要
- 交通量の多い立地:交通系電子マネー対応が効果的
2. 手数料・コスト構造
総コストを比較検討する際は以下の項目を確認:
費用項目 | 一般的な相場 | 確認ポイント |
---|---|---|
初期費用 | 0円~50,000円 | キャンペーン適用の有無 |
月額利用料 | 0円~5,000円 | 無料条件の確認 |
決済手数料 | 2.0%~4.0% | 決済方法別の料率 |
振込手数料 | 0円~330円 | 入金サイクルとセット確認 |
3. 入金サイクル・振込条件
キャッシュフローに影響するため、入金条件は重要な選択基準です:
- 最短翌営業日入金:Square、STORES決済
- 月6回入金:Airペイ
- 週1回入金:stera pack
4. 審査基準・審査期間
特に個人事業主や開業予定の店舗では、審査の通りやすさも重要な要素となります:
- 審査が比較的通りやすい:Square、STORES決済
- 事業実績重視:stera pack、PayCAS Mobile
- 審査期間:最短当日~2ヶ月程度
5. サポート体制
導入後のトラブル対応やメンテナンスサポートの充実度を確認:
- 24時間365日サポート:EPARKペイメント
- 端末保証・交換サービス:主要サービスで提供
- 操作研修・導入支援:初回利用時の手厚いサポート
6. 拡張機能・連携性
将来の事業拡大を見据えた機能面の検討:
- POSレジとの連携:在庫管理・売上分析機能
- ECサイト連携:オンライン・オフライン統合管理
- 会計ソフト連携:自動仕訳・経理業務効率化
おすすめマルチ決済端末20選
【総合1位】Square(スクエア)
- 決済手数料:2.5%~(業界最安水準)
- 初期費用:4,980円~(端末代のみ)
- 月額料金:0円
- 審査期間:最短当日
- 入金サイクル:最短翌営業日
おすすめポイント: 今まで、スマホ決済会社のクレジットカード決済手数料は「3.24~3.25%」でしたが、2024年11月1日より、Squareのカード決済手数料が「2.5%」に値下げされ、業界最安水準を実現。個人事業主でも導入しやすい審査基準で、幅広い業種に対応しています。
【法人向け1位】stera pack
- 決済手数料:1.98%~
- 初期費用:0円
- 月額料金:0円
- 審査期間:1-2週間
- 入金サイクル:最短翌営業日
おすすめポイント: SMBC×GMOによる信頼性の高いサービス。30種類以上の決済に対応し、法人向けの手厚いサポートが特徴です。
【個人事業主向け】STORES決済
- 決済手数料:1.98%~
- 初期費用:0円
- 月額料金:0円
- 審査期間:最短3営業日
- 入金サイクル:最短翌々営業日
【楽天ユーザー向け】楽天ペイ
- 決済手数料:3.24%
- 初期費用:0円
- 月額料金:0円
- 入金サイクル:翌日自動入金(楽天銀行利用時)
【PayPayユーザー向け】PayCAS Mobile
- 決済手数料:2.48%~
- 初期費用:0円
- 月額料金:0円
- 特徴:PayPayとの親和性が高く、マルチ決済にも対応
【短期利用向け】ヤマト運輸 マルチ決済端末レンタル
- 利用期間:1日~6ヶ月
- 適用シーン:イベント出店、季節営業
- 特徴:クレジットカード、QRコード決済(スマホ決済)、電子マネー決済が提供可能な端末を最短1日からレンタルできるレンタルサービス
【医療・美容業界向け】Airペイ
- 決済手数料:3.24%
- 特別業種対応:医療施設、美容室、クリーニング店など
- 入金サイクル:月6回入金
【EC連携重視】GMOイプシロン マルチ決済端末
- 特徴:オンライン決済と店舗決済の一元管理
- 管理画面:ECサイト・店舗売上を同一画面で確認可能
その他の注目サービス
スマレジ・PAYGATE
- POS連携に特化したオールインワン端末
USEN PAY
- 音楽配信で知られるUSENによる決済サービス
JMSおまかせサービス
- 安定した老舗決済代行会社
EPARKペイメント
- 24時間365日サポート対応
Anywhere(NTTコミュニケーションズ)
- SIM内蔵型でどこでも利用可能
アルファノート
- 最短2営業日での導入が可能
導入手順と必要書類
導入の基本的な流れ
1. 申し込み
決済会社の申込書類や申込みサイトに、店舗情報や入金先口座情報などを記載または入力し、必要書類を準備・提出します。
2. 加盟店審査
申し込み後は、加盟店審査が行われます。審査期間は各決済会社によって異なります。
3. 端末設定・発送
審査終了後、利用するマルチ決済端末に必要な設定が行われ、マニュアル等を含めた一式が店舗へ発送されます。
個人事業主の必要書類
個人事業主の方が申し込む際の必要書類は各決済会社によって異なりますが、多くの場合、本人確認書類や事業内容がわかる資料、必要な事業の許可書や免許書が求められます。
一般的な必要書類:
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 開業届(個人事業主の場合)
- 営業許可証(飲食店、理美容業など)
- 事業内容がわかる資料(Webサイト、パンフレット、店舗写真など)
- 銀行口座情報
審査を通過するためのポイント
事業実態の明確化
- Webサイトやリーフレットで事業内容を明確に示す
- 店舗写真や営業実態を証明できる資料を準備
- SNSやブログで日常的な営業活動を発信
信頼性の向上
- 公的な営業許可証の取得
- 事業計画書の作成(開業予定の場合)
- 同業他社での勤務経験のアピール
業種別おすすめ組み合わせ
飲食店
推奨端末:モバイル型マルチ決済端末 理由:テーブル決済への対応、レジ前の混雑緩和 おすすめサービス:Square、stera pack、STORES決済
小売店(アパレル・雑貨)
推奨端末:据え置き型 + モバイル型併用 理由:レジでの安定した決済 + 店内での接客販売 おすすめサービス:Airペイ、楽天ペイ(楽天ポイント連携)
美容・エステサロン
推奨端末:据え置き型マルチ決済端末 理由:高額決済への対応、クレジットカード利用率の高さ おすすめサービス:stera pack、Airペイ(特別料率適用)
イベント・移動販売
推奨端末:モバイル型 or レンタル端末 理由:持ち運び性、短期利用への対応 おすすめサービス:Square、ヤマト運輸レンタルサービス
医療・歯科クリニック
推奨端末:据え置き型マルチ決済端末 理由:高額決済、分割払い対応 おすすめサービス:Airペイ(医療機関特別料率)、stera pack
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でもマルチ決済端末を導入できますか?
A1. はい、導入可能です。個人事業主の方にとって、手軽に1台の端末で決済ができるメリットは大きいとされており、多くのサービスで個人事業主向けのプランが提供されています。
Q2. 審査に落ちた場合はどうすればよいですか?
A2. 審査基準が異なるため、他のサービスへの申し込みを検討しましょう。特にSquareやSTORES決済は比較的審査基準が緩やかとされています。
Q3. 手数料以外にかかる費用はありますか?
A3. サービスによって月額利用料、振込手数料、端末レンタル料などが発生する場合があります。総合的なコストで比較検討することが重要です。
Q4. 端末が故障した場合の対応は?
A4. 多くのサービスで端末保証や交換サービスを提供しています。24時間365日のサポート体制があるサービスを選ぶと安心です。
Q5. 複数店舗での利用は可能ですか?
A5. 可能です。店舗ごとに端末を追加申請することで、売上を統合管理できるサービスが多数あります。
まとめ:最適なマルチ決済端末の選び方
マルチ決済端末の導入は、現代の店舗経営において顧客満足度向上と業務効率化を同時に実現する重要な投資です。
選定時の重要ポイント:
- 業種・客層に合った決済手段の対応
- 総合的なコスト(手数料・固定費)の比較
- 審査基準と導入までの期間
- 入金サイクルの自社への適合性
- 将来の事業拡大を見据えた拡張性
特に、端末代金は0円キャンペーンを実施している企業も多いため、初期導入コストを抑えて利用できます。現在は導入しやすい環境が整っているため、キャッシュレス化への対応を検討されている店舗様は、この機会にマルチ決済端末の導入を検討されることをお勧めします。
【2025年のトレンド】
- 決済手数料の低下競争により、店舗負担が軽減傾向
- タッチ決済の普及により、よりスピーディな決済が実現
- インバウンド需要の回復により、海外カード対応の重要性が増加
最適なマルチ決済端末を選択することで、売上向上と業務効率化を実現し、競争力の高い店舗運営を実現してください。
本記事の情報は2025年6月時点のものです。サービス内容や料金は変更される場合がありますので、導入前には各社の最新情報をご確認ください。