はじめに:なぜ今PayPayとd払いが注目されるのか
キャッシュレス決済市場は急速に拡大しており、2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%(141.0兆円)に達しています。その中でも特に注目されているのが、PayPayとd払いの2大QRコード決済サービスです。
この記事では、キャッシュレス決済端末の導入を検討している事業者様に向けて、PayPayとd払いの特徴、導入コスト、手数料、メリット・デメリットを徹底的に比較解説いたします。
この記事で分かること
- PayPayとd払いの基本情報と特徴
- 導入費用・手数料・入金サイクルの詳細比較
- それぞれの導入メリット・デメリット
- 業種・規模別の最適な選択指針
- 実際の導入手順と必要書類
1. PayPay・d払いの基本情報
PayPay(ペイペイ)とは
PayPayは、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の共同出資により設立されたPayPay株式会社が運営するQRコード決済サービスです。2018年10月にサービス開始以降、2024年8月時点で利用者数が6,500万人を突破し、国内最大級のシェアを誇ります。
PayPayの主な特徴
- 国内最大級の利用者数(6,500万人超)
- 対応店舗数約410万カ所(2023年3月時点)
- 豊富なキャンペーンとポイント還元
- 幅広い年齢層での高い認知度
d払いとは
d払いは、株式会社NTTドコモが提供するスマートフォン決済サービスです。2018年4月にサービス開始し、特にドコモユーザーを中心に普及が進んでいます。dポイントとリンクしており、決済毎にポイントが貯まるだけでなく、d払い加盟店の支払い時にポイントを利用することができます。
d払いの主な特徴
- NTTドコモの安定したブランド力
- dポイントとの連携による高いポイント還元
- ドコモユーザーは携帯料金との合算払いが可能
- メルペイとの提携による利便性向上
2. 市場シェアと利用者数の比較
利用者数・シェア率
サービス | 利用者数 | 市場シェア |
---|---|---|
PayPay | 約6,500万人 | 約67%(2022年コード決済利用額・回数) |
d払い | 約3,000万人以上 | 約21.2%(MMD研究所2024年3月調査) |
PayPayのシェアが大きく、2022年時点で国内コード決済利用額・回数の約67%をPayPayが占めています。一方、d払いは現在利用しているQRコード決済サービスのシェアで21.2%となっており、楽天ペイに次ぐ第3位の地位を確立しています。
キャッシュレス決済市場の成長性
野村総合研究所の予測によると、2030年のスマートペイメント市場規模は約195兆円に拡大し、キャッシュレス決済比率は56.2%に到達する見込みです。この成長市場において、PayPayとd払いは重要なポジションを占めており、今後も導入効果が期待できます。
3. 導入費用・手数料の詳細比較
初期費用・月額費用
項目 | PayPay | d払い |
---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 |
月額費用 | 0円~1,980円※ | 0円 |
QRコード設置 | 無料(印刷したQRコード) | 無料(印刷したQRコード) |
※PayCAS Mobile利用時は月額1,980円~
決済手数料の比較
支払い方法 | PayPay | d払い |
---|---|---|
基本手数料 | 1.60%~2.178% | 2.86% |
優遇プラン | 1.76%(ライトプラン加入時) | キャンペーン期間中実質無料※ |
※現在月々のd払い決済金額の10%キャンペーンが開催されており、決済手数料が実質無料
入金サイクルと振込手数料
PayPay
- 基本サイクル: 月末締め翌月第1営業日入金(振込手数料0円)
- 早期入金: 都度入金(翌営業日、振込手数料22円または220円)
- 自動入金: 設定金額到達時翌営業日入金(売上の0.418%+振込手数料)
d払い
- 月1回: 月末締め翌月1日入金
- 月2回: 5日締め25日入金、月末締め翌月1日入金
- 振込手数料: 1万円未満0円、1万円以上200円
4. 機能・サービス面の比較
ポイント還元システム
PayPay
- 基本還元率: 0.5%
- PayPayカード利用: 最大1.5%(ゴールドは2.0%)
- 条件達成時: 最大1.0%(月30回以上+10万円以上利用)
- 特徴: 豊富なキャンペーンによる追加還元
d払い
- 基本還元率: 0.5%
- dカード利用: 最大3.5%
- ドコモユーザー特典: ステップボーナスで最大3%
- 特徴: dポイントとの強力な連携
支払い方法の多様性
PayPay
- PayPay残高(チャージ)
- PayPayカード
- 銀行口座登録
- Yahoo!マネー連携
d払い
- d払い残高(チャージ)
- クレジットカード登録
- ドコモ料金合算払い(ドコモユーザー限定)
- dポイント利用
セキュリティ対策
両サービスとも以下のセキュリティ機能を提供:
- 二段階認証: SMS認証、生体認証
- 不正利用検知: リアルタイム監視システム
- 利用制限設定: 上限金額設定、店舗制限
- 補償制度: 不正利用時の損失補償
5. 導入のメリット・デメリット
PayPay導入のメリット・デメリット
メリット
✅ 圧倒的なユーザー数: 6,500万人の潜在顧客にアプローチ可能 ✅ 高い認知度: 「○○ペイ」といえばPayPayを連想する知名度 ✅ 豊富なマーケティング支援: PayPayマイストアでクーポン発行可能 ✅ 導入スピード: 申込から約1週間で利用開始 ✅ 幅広い年齢層: 10代~60代以上まで幅広く利用
デメリット
❌ 競合店も多数導入: 差別化が困難 ❌ 手数料変動リスク: 将来的な手数料改定の可能性 ❌ システム障害時の影響: 利用者数が多い分、障害時の影響が大きい
d払い導入のメリット・デメリット
メリット
✅ ドコモユーザーの高い利用率: 約5,000万人のドコモユーザーがターゲット ✅ dポイント経済圏: dポイント利用者の来店促進効果 ✅ 安定したシステム: NTTドコモのインフラによる高い安定性 ✅ メルペイ連携: 共有QRコードでメルペイユーザーも取り込み可能
デメリット
❌ ユーザー数の制限: PayPayと比較すると利用者数が少ない ❌ 導入期間: 申込から約1ヶ月と時間がかかる ❌ 地域格差: ドコモユーザーの密度により効果にばらつき
6. 業種別おすすめ度分析
小売店・コンビニ
おすすめ度: PayPay ★★★★★ / d払い ★★★☆☆
理由:
- 幅広い年齢層の利用が見込める
- 衝動買いを促すキャンペーン効果
- 高い決済頻度で手数料負担を回収しやすい
飲食店
おすすめ度: PayPay ★★★★☆ / d払い ★★★★☆
理由:
- ランチタイムの決済スピード向上
- 若年層の利用率が高い
- テーブル決済での利便性向上
美容・エステ
おすすめ度: PayPay ★★★☆☆ / d払い ★★★★★
理由:
- 女性のdポイント利用率の高さ
- 高単価サービスでポイント還元メリット大
- リピート率向上効果
BtoB・法人向けサービス
おすすめ度: PayPay ★★☆☆☆ / d払い ★★★☆☆
理由:
- 法人カードとの連携度
- 経費精算システムとの親和性
- セキュリティ要件への対応
7. 導入手順と必要書類
PayPay導入手順
STEP1: 仮申込(5分)
- PayPay公式サイトから仮申込フォーム入力
- 完了メールの受信確認
STEP2: 本申込(10分)
- メール内のURLから本申込画面へ
- 事業者情報・銀行口座情報の入力
- 必要書類のアップロード
STEP3: 審査(3-7日)
- PayPay側での審査実施
- 審査結果通知
STEP4: 利用開始
- QRコードの配送
- 店舗での設置・利用開始
d払い導入手順
STEP1: 申込準備
- d払い公式サイトでの情報確認
- 必要書類の準備
STEP2: 申込手続き(15分)
- オンライン申込フォーム入力
- 事業者情報・代表者情報の登録
STEP3: 審査期間(2-4週間)
- NTTドコモ側での審査
- 追加資料の要求対応(必要に応じて)
STEP4: 導入完了
- 審査完了通知
- QRコード等の配送
- 利用開始
必要書類一覧
個人事業主の場合
- 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード等
- 事業証明書類: 開業届、確定申告書等
- 銀行口座情報: 通帳コピーまたはキャッシュカード
法人の場合
- 登記事項証明書: 発行から6ヶ月以内
- 代表者本人確認書類: 運転免許証等
- 法人銀行口座情報: 法人名義の口座
- 印鑑証明書: 発行から3ヶ月以内(場合により)
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 両方のサービスを同時に導入することは可能ですか?
A1. はい、可能です。多くの事業者が複数のQRコード決済を導入しています。さまざまな顧客を集客するために、複数のQRコード決済を導入する店舗も多くいます。統一QRコード(JPQR)を利用すれば、一つのコードで複数サービスに対応できます。
Q2. 手数料はいつから発生しますか?
A2. どちらのサービスも決済が発生した時点から手数料が発生します。ただし、d払いは期間限定キャンペーンで実質手数料無料の場合があります。
Q3. 解約時に費用は発生しますか?
A3. 基本的に解約手数料は発生しません。ただし、専用端末をレンタルしている場合は、契約条件を確認してください。
Q4. システム障害時の対応はどうなりますか?
A4. 両サービスとも24時間365日のシステム監視を行っています。障害発生時は:
- 公式アプリ・サイトでの障害情報配信
- 代替決済手段の案内
- 復旧後の取引データ同期
Q5. 個人事業主でも導入できますか?
A5. はい、個人事業主でも導入可能です。ただし、以下の条件があります:
- 適切な事業実態があること
- 必要書類の提出が可能なこと
- 審査基準を満たすこと
まとめ:PayPayとd払い、どちらを選ぶべきか
結論:業種と戦略に応じた選択を
PayPayとd払いの選択は、事業の特性と顧客層によって決まります。
PayPayがおすすめの事業者
- 幅広い年齢層の顧客を持つ店舗
- 新規顧客獲得を重視する事業者
- 導入スピードを重視する場合
- マーケティング施策を積極的に行いたい店舗
d払いがおすすめの事業者
- ドコモユーザーが多い地域の店舗
- 女性客がメインターゲットの事業
- 高単価商品・サービスを扱う事業者
- 安定したシステムを重視する場合
最適解:段階的導入戦略
多くの成功事例では、以下のような段階的アプローチを取っています:
- 第1段階: PayPayの導入(高いユーザー数でベース構築)
- 第2段階: 効果測定と分析
- 第3段階: d払いの追加導入(特定顧客層へのアプローチ強化)
今後のキャッシュレス市場展望
2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%に達し、政府目標の4割を達成しました。さらに将来的には世界最高水準のキャッシュレス決済比率80%を目指し、必要な環境整備を進めていくとされており、キャッシュレス決済への対応は必須となっています。
PayPayとd払いの導入検討においては、初期費用が無料であることを活用し、まずは導入してみることをおすすめします。実際の利用データを基に、自店舗に最適な決済手段を見極めることが成功への近道です。
この記事が参考になりましたか?
キャッシュレス決済端末の導入は、店舗の売上向上と顧客満足度の向上に直結する重要な投資です。PayPayとd払いの特徴を理解し、自店舗に最適な選択をすることで、キャッシュレス社会での競争力を高めることができます。
導入に関するご質問やお悩みがございましたら、各サービスの公式サポートまでお気軽にお問い合わせください。
関連情報
本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。