はじめに:なぜエアペイの分割払い情報が重要なのか
キャッシュレス決済の普及により、店舗運営者にとって決済端末選びは売上に直結する重要な選択となっています。2023年のキャッシュレス決済比率は70.6%まで増加し、特に若年層では分割払いのニーズが高まっています。
エアペイの導入を検討している事業者から「分割払いはできるのか?」という質問が増えているのも当然といえるでしょう。本記事では、エアペイの分割払い対応状況から「あとから分割」の活用法、代替案まで徹底的に解説します。
結論:エアペイは分割払いに対応していません
エアペイのクレジットカード決済は一括払い(1回払い)のみに対応しており、分割払い、リボ払い、ボーナス払いはご利用いただけません。これは公式FAQでも明確に記載されている事実です。
エアペイの対応決済方法一覧
決済方法 | 対応状況 | 備考 |
---|---|---|
一括払い | ✅ 対応 | 基本の支払い方法 |
分割払い | ❌ 非対応 | 2回払い以上すべて非対応 |
リボ払い | ❌ 非対応 | – |
ボーナス払い | ❌ 非対応 | – |
QRコード決済 | ❌ 非対応 | QRコード決済も分割払いはご利用いただけません |
エアペイが分割払いに対応していない理由
1. セキュリティ対策の観点
分割払いやリボ払いは顧客にとっては便利な手段ですが、加盟店側にとっては不正検知、返金対応、審査工数など多くの負担を伴います。特に高額決済では不正利用のリスクが高まるため、エアペイはセキュリティを重視した運用を選択しています。
2. シンプルな決済プロセスの提供
エアペイが、加盟店向け決済サービスとして、できるだけシンプルな決済プロセスの提供を目的としているためと考えられます。複雑な支払い方法を排除することで、店舗スタッフの操作負担を軽減し、決済エラーを防止しています。
3. チャージバックリスクの軽減
分割払いは一括払いと比較してチャージバック(返金要求)のリスクが高くなる傾向があります。エアペイは低い決済手数料を実現するため、このようなリスクの高い決済方法を除外しています。
解決策:「あとから分割」の活用方法
エアペイで分割払いができない問題には、実用的な解決策があります。一括払いの後に、お客様側から「あとから分割」をしてもらうことが可能です。
「あとから分割」のメリット
- ✅ お客様の購買機会を逃さない – 一括払いに抵抗があるお客様でも購入を決断しやすい
- ✅ 店舗側の手続きは不要 – 通常の一括払い決済を行うだけ
- ✅ エアペイの決済手数料は1回分のみ – お客様が「あとから分割」をした場合でも、エアペイの決済手数料は1回分のみです
主要カード会社の「あとから分割」対応状況
カード会社 | 対応状況 | 変更方法 | 分割回数 |
---|---|---|---|
楽天カード | ✅ 対応 | 楽天e-NAVI | 3・5・6・10・12・15・18・20・24・30・36回払い |
JCBカード | ✅ 対応 | MyJCB | 3~24回払い |
dカード | ✅ 対応 | dカードサイト | 5万円以上のお買い物の場合に分割払いに変更可能 |
三井住友カード | ✅ 対応 | Vpass | 3~24回払い |
イオンカード | ✅ 対応 | MyPage | 3~24回払い |
「あとから分割」の具体的な手順
1. 店舗での決済時
- 通常通りエアペイで一括払い決済を実行
- お客様に「決済後にカード会社のサイトから分割払いに変更できます」と案内
- 必要に応じて変更方法を簡単に説明
2. お客様による変更手続き
楽天カードの例:
- 楽天カード専用サイト「楽天e-NAVI」で「分割払いへの変更」で変更します
- 支払月の5日までに変更すれば「当月支払い」から分割ができます
- 支払月の6日から最長20日(23時59分)までに変更すると「当月支払い分」を翌月に繰り越して、分割できます
お客様への案内例文
「エアペイでは一括払いのみの対応となりますが、決済後にお客様ご自身でカード会社のサイトやアプリから分割払いに変更していただくことが可能です。楽天カードでしたら楽天e-NAVIから、JCBカードでしたらMyJCBから変更できます。お手続きに関してご不明な点がございましたら、各カード会社にお問い合わせください。」
注意点とデメリット
1. お客様の手間と理解不足
- 手続きの複雑さ – お客様自身での操作が必要で、不慣れな方には負担
- 信頼性への疑問 – 「本当に分割できるの?」と不安に感じるお客様もいる
- 説明時間の増加 – 店舗スタッフによる案内時間が必要
2. カード会社による制限
- 対応していないカード – すべてのクレジットカードが「あとから分割」に対応しているわけではない
- 条件付き対応 – 最低利用金額や期間の制限がある場合も
- 手数料負担 – 分割払い手数料は通常通りお客様負担
3. タイミングの制約
変更可能期間には制限があり、支払日を過ぎると変更できない場合があります。
業種別の影響度分析
高額商品を扱う業種への影響(大)
影響が大きい業種:
- 家具・インテリア店 – 数十万円の商品が多く、分割払いのニーズが高い
- 家電量販店 – エアコン、冷蔵庫等の白物家電で分割払いが一般的
- ジュエリー・アクセサリー店 – 婚約指輪、高級時計等の高額商品
- 美容・エステサロン – コース料金の分割払い需要
単価の高い商品を扱っている店舗や、エステ、塾など継続的な支払いが発生するサービスを提供している店舗にとっては、販売機会の損失につながる可能性があります。
影響が限定的な業種(小)
影響が小さい業種:
- 飲食店 – 客単価が比較的低く、一括払いが主流
- コンビニエンスストア – 少額決済が中心
- カフェ・喫茶店 – 1回の利用金額が数千円程度
- 小売店(日用品) – 日常的な買い物での利用
分割払い対応の代替決済端末比較
エアペイで分割払いができない場合の代替案をご紹介します。
1. STORES決済(最もおすすめ)
特徴:
- ✅ 2回払い対応 – 手数料無料の2回払いが可能
- ✅ 月額費用0円 – エアペイと同様の料金体系
- ✅ 最短翌日入金 – 資金繰りに優しい
- ❌ 3回以上の分割は非対応
項目 | STORES決済 | エアペイ |
---|---|---|
分割払い | 2回払いのみ | 非対応 |
月額費用 | 0円 | 0円 |
決済手数料 | 3.24% | 2.48%~3.24% |
入金サイクル | 最短翌日 | 月3~6回 |
2. stera pack(本格的な分割払い対応)
特徴:
- ✅ 分割2~24回対応 – 本格的な分割払い機能
- ✅ 決済手数料1.98%~ – 業界最安水準(条件あり)
- ✅ オールインワン端末 – 高機能な専用端末
- ❌ 月額費用3,300円 – ランニングコストが発生
料金体系:
- 初期費用:0円
- 月額費用:3,300円(初年度無料キャンペーンあり)
- 決済手数料:VISA・Mastercard 1.98%~
3. スマレジPAYGATE(最多分割回数)
特徴:
- ✅ 分割2~60回対応 – 最も多い分割回数
- ✅ 4G通信対応 – Wi-Fi不要で使える
- ✅ レシートプリンター内蔵 – 一体型端末
- ❌ 月額費用3,300円
- ❌ 決済手数料2.90% – やや高め
4. アルファノート(美容・エステ特化)
特徴:
- ✅ 幅広い分割回数 – 業種に応じた柔軟な対応
- ✅ 特定継続的役務提供対応 – エステや塾などに特化
- ✅ 継続決済機能 – 月額制サービスに対応
- ❌ 審査が厳しい – 業種制限あり
分割払いのニーズとトレンド
Z世代の分割払い利用動向
特にZ世代では、モバイルアプリやQRコードなどを活用したキャッシュレス決済の普及が進み、「BNPL(Buy Now, Pay Later)」と呼ばれる「分割払い」のサービスにも注目が集まっています。
Z世代の特徴:
- 高額商品でも「今すぐ欲しい」というニーズが強い
- 分割払いへの心理的抵抗が少ない
- スマホアプリでの操作に慣れている
業界データから見る分割払いニーズ
分割払いを利用して購入された商品は、家庭用品や家具などの高単価になりやすい商品が42%と最も多く、次いで電化製品(ヘッドフォン、スピーカー、掃除機)が30%、衣料品が24%となっています。
キャッシュレス決済の拡大
経済産業省の調査によると2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)と過去最高を記録しており、この流れの中で分割払いニーズも拡大しています。
実践的な導入検討フローチャート
Step1: 業種・客層分析
あなたの店舗は以下のどれに該当しますか?
A. 高額商品(10万円以上)を主に扱う
→ 分割払い対応端末の検討を強く推奨
B. 中額商品(3-10万円)を扱うことがある
→ エアペイ + あとから分割案内で対応可能
C. 主に低額商品(3万円未満)を扱う
→ エアペイで十分対応可能
Step2: コスト分析
エアペイの場合:
- 初期費用:0円(キャンペーン利用時)
- 月額費用:0円
- 決済手数料:2.48%~3.24%
分割払い対応端末の場合:
- 初期費用:0円~
- 月額費用:3,300円~
- 決済手数料:1.98%~3.24%
Step3: ROI計算例
月商100万円の店舗の場合:
端末 | 月額費用 | 決済手数料 | 総コスト | 差額 |
---|---|---|---|---|
エアペイ | 0円 | 24,800円 | 24,800円 | – |
stera pack | 3,300円 | 19,800円 | 23,100円 | ▲1,700円 |
※決済手数料は全額カード決済、エアペイ2.48%、stera pack1.98%で計算
店舗運営者向け実践ガイド
お客様への適切な案内方法
1. 事前準備
- 主要カード会社の「あとから分割」対応状況を把握
- スタッフ向けの案内マニュアルを作成
- 案内用のチラシやPOPを用意
2. 決済時の対応手順
1. 通常通り一括払いで決済を実行
2. レシートお渡し時に以下を案内
「お支払い方法の変更については、各カード会社のサイトから
お手続きいただけます」
3. 希望者には具体的な変更方法を案内
4. 不明な点はカード会社への問い合わせを促す
3. トラブル回避のポイント
- 「必ず分割できる」とは断言しない
- カード会社によって条件が異なることを説明
- 手数料についても事前に案内
スタッフ教育のポイント
基本知識として覚えておくべき内容:
- エアペイは一括払いのみ対応
- あとから分割はお客様自身での手続きが必要
- 主要カード会社は概ね対応している
- 変更期限や条件はカード会社によって異なる
よくある質問とトラブル対応
Q1: エアペイで2回払いはできませんか?
A: エアペイでは一括払い(1回払い)のみ対応しており、2回払いを含む分割払い全般に対応していません。
Q2: QRコード決済なら分割払いできますか?
A: QRコード決済でも分割払いはご利用いただけません。エアペイではすべての決済方法で一括払いのみとなります。
Q3: あとから分割の手数料は店舗負担ですか?
A: 分割払い手数料はお客様負担となります。店舗側は通常の決済手数料のみの負担です。
Q4: お客様が分割変更できなかった場合の責任は?
A: あとから分割はカード会社のサービスのため、変更できなかった場合の責任は店舗にはありません。ただし、適切な案内を行うことが重要です。
Q5: 今後エアペイが分割払いに対応する予定はありますか?
A: 2025年現在、エアペイの分割払い対応に関する公式発表はありません。最新情報は公式サイトでご確認ください。
コスト比較:エアペイ vs 分割払い対応端末
年間コスト試算(月商50万円の場合)
端末 | 初期費用 | 月額費用 | 年間月額 | 決済手数料(年) | 年間総額 |
---|---|---|---|---|---|
エアペイ | 0円 | 0円 | 0円 | 148,800円 | 148,800円 |
STORES決済 | 0円 | 0円 | 0円 | 194,400円 | 194,400円 |
stera pack | 0円 | 3,300円 | 39,600円 | 118,800円 | 158,400円 |
※全額カード決済と仮定、エアペイ2.48%、STORES3.24%、stera pack1.98%で計算
分割払い需要による売上増加を考慮した場合
分割払い対応により売上が10%増加した場合の収益改善効果:
月商50万円 → 55万円に増加した場合
- 売上増加:月5万円(年間60万円)
- 追加決済手数料:年間17,856円(stera packの場合)
- 実質年間収益増加:約58万円
この試算から、高額商品を扱う店舗では分割払い対応端末導入のROIが高いことがわかります。
2025年のキャッシュレス決済トレンド
BNPL(Buy Now, Pay Later)の台頭
BNPLをはじめとする分割払いサービスの多くは、アプリを介したキャッシュレス決済を前提としており、スマホやデジタルツールを日常的に使いこなすZ世代のライフスタイルと親和性が高い特徴があります。
若年層の消費行動変化
社会人になったばかりのZ世代は、まとまった貯蓄が十分にないケースも多く、高額商品の一括購入は心理的にも金銭的にも大きな負担となりがちです。この層を取り込むには、分割払いオプションの提供が重要になります。
キャッシュレス決済普及率の継続的成長
全体のキャッシュレス決済比率は51.2%から70.6%と19.3%ポイント増加しており、この流れは今後も続くと予想されます。
まとめ:最適な決済端末選択のための判断基準
エアペイが適している店舗
✅ こんな店舗にはエアペイがおすすめ:
- 客単価が3万円未満の店舗
- 初期コストを抑えたい新規事業者
- 幅広いキャッシュレス決済に対応したい店舗
- 分割払いの需要が少ない業種
分割払い対応端末を検討すべき店舗
⚠️ 分割払い対応端末の検討が必要:
- 客単価が10万円以上の商品を扱う店舗
- 家具、家電、ジュエリー等の高額商品店
- エステ、塾等の継続的サービス提供店
- 若年層顧客が多い店舗
最終的な選択指針
- まずはエアペイで開始 – 初期費用を抑えて市場テスト
- 分割払いニーズを検証 – 実際の顧客要望を把握
- 必要に応じて端末追加 – ROIを確認して最適化
エアペイの分割払い非対応は確かにデメリットですが、「あとから分割」の活用や適切な代替案の検討により、多くの店舗で十分対応可能です。重要なのは、自店舗の業種・客層・売上規模に応じた最適な判断を行うことです。
今すぐ行動すべきこと
- 現在の客単価と分割払い需要を分析
- 「あとから分割」案内体制の整備
- 必要に応じて分割払い対応端末の検討
- スタッフ教育の実施
適切な決済環境の整備により、顧客満足度向上と売上拡大の両立を実現しましょう。
参考情報:
- エアペイ公式サイト:決済手数料や最新キャンペーン情報
- 各カード会社公式サイト:あとから分割の詳細条件
- 経済産業省:キャッシュレス決済実態調査データ
本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。