キャッシュレス決済端末の導入を検討している皆さんにとって、決済手数料は最も重要な判断材料の一つです。三井住友カードが提供する「ステラパック(stera pack)」は、業界最安水準の手数料で注目を集めていますが、実際のコストはプランや決済額によって大きく変わります。
この記事では、ステラパックの手数料体系を詳しく解説し、他社サービスとの比較を通じて、あなたの店舗に最適な選択肢をご提案します。
ステラパック(stera pack)とは?基本情報をおさらい
ステラパックは、SMBC GMO PAYMENT株式会社が提供する店舗向けキャッシュレス決済サービスです。1台の端末で30種類以上の決済手段に対応し、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済をまとめて導入できます。
主な特徴
- 初期費用0円で導入可能
- 高性能な決済端末「stera terminal」を無料提供
- レシートプリンター内蔵で別途購入不要
- 24時間365日のサポート体制
- 豊富なアプリで機能拡張可能
ステラパックの料金プラン – 2つのプランから選択
ステラパックでは、事業規模や利用形態に応じて2つの料金プランを提供しています。
スモールビジネスプラン【業界最安水準】
中小企業者向けの特別プランで、最も手数料が安く設定されています。
項目 | 内容 |
---|---|
月額費用 | 初年度無料、2年目以降3,300円(税込) |
Visa・Mastercard手数料 | 1.98% |
JCB・AMEX等手数料 | 2.48% |
その他決済手数料 | 3.24% |
対象事業者 | 中小企業庁定義の中小企業者 |
売上上限 | Visa・Mastercard年間2,500万円以下 |
スモールビジネスプランの適用条件
以下の条件をすべて満たす必要があります:
- 中小企業庁が定める中小企業の定義に該当
- 小売業:従業員50人以下または資本金5,000万円以下
- サービス業:従業員100人以下または資本金5,000万円以下
- 卸売業:従業員100人以下または資本金1億円以下
- 製造業その他:従業員300人以下または資本金3億円以下
- 初めてクレジットカード決済を導入する事業者
- 対象外業種に該当しない
- たばこ店、百貨店、旅行代理店
- 宿泊施設(ホテル・旅館・民宿等)
- 運輸業、不動産業
スタンダードプラン【標準プラン】
誰でも申し込み可能な基本プランです。
項目 | 内容 |
---|---|
月額費用 | 初年度無料、2年目以降3,300円(税込) |
Visa・Mastercard手数料 | 2.70% |
その他決済手数料 | 3.24% |
対象事業者 | 制限なし |
売上上限 | なし |
両プラン共通の条件
- 初期費用:0円
- 端末代金:無料
- レシートロール紙:無料
- 月額費用免除条件:年間キャッシュレス売上3,000万円以上で永年無料
- 振込手数料:三井住友銀行口座は0円、他行は220円(税込)
手数料の詳細比較 – プラン別料金一覧
決済手段別手数料比較表
決済手段 | スモールビジネス | スタンダード | 一般的な相場 |
---|---|---|---|
Visa | 1.98% | 2.70% | 3.24% |
Mastercard | 1.98% | 2.70% | 3.24% |
JCB | 2.48% | 3.24% | 3.24% |
AMEX | 2.48% | 3.24% | 3.24% |
Diners | 2.48% | 3.24% | 3.24% |
Discover | 2.48% | 3.24% | 3.24% |
電子マネー | 3.24% | 3.24% | 3.24% |
QRコード決済 | 3.24% | 3.24% | 3.24% |
手数料計算例
月間売上500万円(すべてVisa・Mastercard決済)の場合:
- スモールビジネスプラン: 500万円 × 1.98% = 99,000円
- スタンダードプラン: 500万円 × 2.70% = 135,000円
- 他社サービス(3.24%): 500万円 × 3.24% = 162,000円
年間で比較すると:
- スモールビジネス vs 他社:年間約75万円の節約
- スタンダード vs 他社:年間約32万円の節約
実際の費用シミュレーション – あなたの店舗ではいくらかかる?
ケース1:小規模飲食店(月間決済額50万円)
スモールビジネスプランの場合:
- 決済手数料(Visa・Mastercard 80%):50万円 × 80% × 1.98% = 7,920円
- 決済手数料(その他 20%):50万円 × 20% × 3.24% = 3,240円
- 月額費用(2年目以降):3,300円
- 振込手数料:220円 × 2回 = 440円
- 月間合計:14,900円
他社サービス(月額無料、手数料3.24%)の場合:
- 決済手数料:50万円 × 3.24% = 16,200円
- 月間合計:16,200円
→ 月間決済額50万円では他社サービスの方が安い
ケース2:中規模小売店(月間決済額200万円)
スモールビジネスプランの場合:
- 決済手数料(Visa・Mastercard 70%):200万円 × 70% × 1.98% = 27,720円
- 決済手数料(その他 30%):200万円 × 30% × 3.24% = 19,440円
- 月額費用(2年目以降):3,300円
- 振込手数料:220円 × 6回 = 1,320円
- 月間合計:51,780円
他社サービスの場合:
- 決済手数料:200万円 × 3.24% = 64,800円
- 月間合計:64,800円
→ 月間約1.3万円(年間約15万円)の節約
損益分岐点の計算
スモールビジネスプランと他社サービス(月額無料、手数料3.24%)の比較:
手数料差:3.24% – 1.98% = 1.26% 月額費用:3,300円
損益分岐点 = 3,300円 ÷ 1.26% = 約26.2万円
Visa・Mastercardの月間決済額が26.2万円を超える場合、スモールビジネスプランがお得になります。
他社キャッシュレス決済サービスとの徹底比較
主要サービス料金比較表
サービス名 | 初期費用 | 月額費用 | カード手数料 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ステラパック(スモール) | 0円 | 初年度無料<br>2年目3,300円 | 1.98%~ | 業界最安水準 |
ステラパック(スタンダード) | 0円 | 初年度無料<br>2年目3,300円 | 2.70%~ | 制限なし |
Airペイ | 0円 | 0円 | 3.24% | 対応決済数最多 |
Square | 4,980円~ | 0円 | 3.25% | 最短即日導入 |
楽天ペイ | 0円 | 0円 | 3.24% | 楽天ポイント連携 |
STORES決済 | 19,800円 | 0円 | 3.24% | ネットショップ連携 |
プラン選択の目安
スモールビジネスプランがおすすめ:
- 月間Visa・Mastercard決済額が30万円以上
- 初めてキャッシュレス決済を導入
- 中小企業の定義に該当
- 手数料を最重視
スタンダードプランがおすすめ:
- 年間Visa・Mastercard売上が2,500万円超
- スモールビジネスプランの対象外業種
- 大規模な決済が見込める
他社サービスがおすすめ:
- 月間決済額が少ない(20万円未満)
- 固定費を一切かけたくない
- 即日導入が必要
ステラパックの入金サイクルと振込手数料
入金サイクルの選択肢
ステラパックでは、4つの入金サイクルから選択可能です:
- 月6回入金: 毎営業日締め、2営業日後入金
- 月2回入金(15日・月末): 15日締め・月末締め、15営業日後入金
- 月2回入金(5日・20日): 5日締め・20日締め、15営業日後入金
- 月1回入金: 月末締め、15営業日後入金
振込手数料
- 三井住友銀行口座:無料
- 他金融機関口座:220円(税込)/回
月6回入金を選択した場合の年間振込手数料:
- 他行口座:220円 × 72回 = 15,840円
- 三井住友銀行口座:0円
ステラパック導入時の注意点とよくある質問
導入前に確認すべきポイント
1. 通信環境の準備
- 光回線が必要(Wi-Fi非対応)
- 常時電源接続が必要
- 固定回線推奨(セキュリティ面)
2. 契約期間と解約条件
- 契約期間:3年間
- 解約違約金:最大88,000円
- 端末返却(45日以内)で違約金免除
3. プラン変更の制限
- スタンダード→スモールビジネス:変更不可
- スモールビジネス→スタンダード:自動変更(売上2,500万円超)
よくある質問
Q1. 手数料に消費税はかかりますか? A1. 決済手数料に消費税は含まれていません。表示料率に消費税が加算されます。
Q2. 月額費用はいつから発生しますか? A2. 利用開始から13ヶ月目の翌月に、登録クレジットカードに請求されます。
Q3. 端末が故障した場合の費用は? A3. 通常使用での故障は無料交換、故意・過失による破損は有償修理となります。
Q4. 審査期間はどのくらいですか? A4. Visa・Mastercard・電子マネーの利用開始まで約1ヵ月半です。
まとめ:ステラパックの手数料は本当にお得?
結論:月間決済額によって判断が分かれる
ステラパックがお得になるケース:
- 月間Visa・Mastercard決済額が30万円以上
- 年間を通じて安定した決済量がある
- 手数料の安さを最重視
- 中小企業の定義に該当する
他社サービスが有利なケース:
- 月間決済額が少ない(20万円未満)
- 決済額の変動が大きい
- 固定費を避けたい
- 即日導入が必要
最適な選択をするための3ステップ
- 月間決済額の予測
- 過去の売上データから決済額を予測
- Visa・Mastercardの比率を確認
- 年間コストの試算
- 決済手数料 + 月額費用 + 振込手数料で計算
- 複数プランで比較シミュレーション
- 導入条件の確認
- 通信環境の整備
- 審査に必要な書類の準備
- 契約期間の検討
ステラパックは業界最安水準の手数料を実現している優秀なサービスですが、すべての店舗にとって最適とは限りません。あなたの事業規模や決済パターンに合わせて、慎重に比較検討することが重要です。
初年度は月額費用が無料なので、まずは試してみて実際の決済額や使い勝手を確認してから、2年目以降の継続を判断するのも一つの方法です。
この記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の料金やサービス内容については、公式サイトで確認することをおすすめします。